蜘蛛の巣残響基地

大好きだったインターネットへ

私とテレキャスター

 私はテレキャスターが嫌いだった。youtubeでしょうもない大学生が派手な動きをしながらヨルシカを弾く楽器、またはファンの女を抱いた後に金をせびり額が足りても足りなくてもとりあえず殴るマッシュやセンターパートの男が親名義でローンを組んで買った楽器というような偏見があったからだ(今もこのような輩は嫌いだが)。

 私がロックを聴き始めギターを弾き始めた2011年頃または少し前のバンドマンはレスポール使いが多かったと認識している。マキシマムザ亮君藤原基央細美武士、桑原彰、喜多建介、君達にもなじみ深い平沢唯など有名な人でも書ききれないほどだ。

 亮君に憧れてギターを始めた私も当時はaria pro2のレスポールのコピーモデルを弾いていた。太い音が良い、音圧があって重たいものが良いなんて思っていたので私はメタルコアの道に進むことになるのだがここでは割愛する。

 テレキャスターの良さに気が付いたのは山田亮一という男の音楽を聴きだしてからだ。確か最初に聞いたのはバズマザーズの「仮想現実のマリア」だったと思う。日本語のオルタナティブロックをあまり聞いていなかった私への衝撃は大きかった。そのままハヌマーンを深く聞きこむことになったのは言うまでもない。私のidのkirisakuはそういうことである。空間を切り裂くあれだ。

 オルタナティブロック、残響系にどっぷりはまった私は当時使っていたギブソンcsのレスポールをメルカリに放流しテレキャスター選びを始めることになった。

 結論から言うと私はmomoseのカスタムテレキャスターを購入した。バインディング付きの普通のサンバーストのテレキャスターだ。フェンダーへのあこがれが一切無かったうえ品質が値段以上だということを聞いて秋葉原のイケベ楽器に行き試奏して購入した。余談だが購入時に「fever believer feedback」のリフを弾いていたところ若い店員に「ハヌマーン好きなんですか?最近多いんですよ」なんて言われ正直癪に障った。図星ではあるが。

 またもう一つ購入するにあたり参考にした人がいる。ともはちさんだ。テレキャスターといえばクリーンかクランチでセンターでカッティングをする、という印象をこの人も変えたのだ。彼はテレキャスターマキシマムザホルモンを弾くことがあるのだ。こういうテレキャスターの使い方もあるのか、意外と深い歪みにも耐えられるのは良いななんて思ったのだ。また彼のギターに対する向かい方もとても参考になる。同じギターを10年以上弾き続けライブでも基本的にそのギターだけなんて言うのはあまりにもかっこいい。

 そのため私のテレキャスター選び長期使用にも耐えうる国産の20万円前後のハンドメイドのもの(サイケデリズムは除く)でサンバーストのバインディング付きということで決まっていたというわけだ。我ながら影響されやすい男である。

 これらの経緯があり私が今持っている6弦ギターはテレキャスターのみである。10年とは言わずそれ以上の長期間使うつもりだ。我々逆張りオタクは食わず嫌いなものが多いと思うが、も試したほうが良いものもあるということだ。

 最後に私の好きなテレキャスター弾きを三名ほど挙げておこう。

 一人目は山田亮一。ハヌマーンのギターボーカルだった男だ。彼については演奏も歌も好きだが一番好きなのは歌詞である。卑屈で惨めな男の歌詞は彼のものが一番すっと入ってくる。一番好きな曲はワンナイト・アルカホリックだ。

 二人目は高橋國光。the cabsでギターとシャウトをしていた男でなかなかにメンヘラなところにも共感が持てるが、好きな理由はそこではない。難解なアルペジオを弾き観客のほうを向かずに叫ぶ。何年か前躁鬱になり無職でギターを弾いていた私が影響されないわけがない。もちろん実家の部屋で深夜弾いて聞いて狂っていたと思う。

 三人目はトム・モレロ。RATMのギターでなかなかに秀才でありながら変態的なギターを弾く。この人に関してはwikiでも見てもらったほうが早いだろう。

 

 この先も私はテレキャスターを好んで弾くだろう。陰気で身長の低くガリガリの眼鏡で喫煙者の私にちょうど良いギターであると思うからだ。